
ALT 「審問官様、私は無実にございます」 そのメイドは両手の指を素早く絡めながら上擦った声で続ける 「あれは不幸な事故なのです、火事が起こる数時間前に私は同僚のメアリーと一緒に書庫の掃除をしてました。そうして掃除が終わった頃執事のダイアンがやって来てキッチンから火が出てると、聞いた話ではコックのアイザックが料理中に目を離した瞬間服に火が燃え移ったそうで あぁかわいそうなアイザック…田舎には病気のお母さんがいると言うのに…」 えぐえぐとしゃくりあげ、自分のスカートで鼻をかむとメイドは話を続けた 「…それで書庫から出てみたら煙が廊下まで出てて、旦那様を探したのですが見つけられず…旦那様を助けられなかったのはたしかに私の罪でございます!しかし誓って館に火をつけたのは私ではありません!審問官様は何を持って私に罪があると言うのです!?」 狭い部屋の中を劇場の舞台のように動き回る彼女に審問官は咳払いし、冷静に答えた 「クレメンタイン、君の話は嘘だらけで聴くに耐えない。まず事件現場を検証した結果火元は君がいたという書庫だそうじゃないか。 それとその館の主だが、手足を何かで縛られた痕があり、体に藁の燃えカスが残っていた。 さらに館で働いてる人間もみんな調べたが、あの館で働いていたのは、君1人だけだったではないか! 欺くのもここまでだ、貴様はこれから貴様が殺した屋敷の人間と同じように火あぶりの刑に処されるのだ!!」 審問官が声を荒らげ罰を言い渡すと、メイドの動きはピタリと止まり、まるで死人のような顔で話し始める 「審問官様は私を捕まえるためにこんな小汚い小屋まで1人でいらっしゃったのですよね、私には考えられません 1人でなにかするなんて私には到底無理です」 「だから親愛なる「メアリー」と「ダイアン」に来てもらいました」 そう言い終えると小屋の戸が開き人ほど大きな藁人形が入ってくる メイド姿の藁人形は審問官を押さえつけ、執事姿の藁人形は魔女を肩に担ぎ小屋の外へ向かう。 「あぁメアリー!審問官様に恋をしてしまったようね! 友達に春が訪れるなんてとっても嬉しいわ!! どうか2人のこれからの人生が暖かい灯火に包まれるますように、神に祈りを捧げます!」 小屋から出たあと魔女はポケットから火打石を取り出し、戯言を叫びながら小屋に火をつけた 夜が明けると魔女は姿を消し、藁の燃えカスだけが風に攫われた








































