【論文を発表しました:過去イチ】
なぜ思春期女子のメンタルヘルスは悪化しているのか?
娘のために書いた論文が、行動科学の最高峰 Nature Human Behaviour に出版されました。
この問いに対して、最初に当事者である若者に教えてもらうところから始めました。
医者・研究者だけで原因を決めつけるのではなく、若者とのワークショップを重ね、実際に感じていることを研究の問いにしました。そこで挙がったのが、「孤独感」と「やせ願望」でした。
東京の3,171人を12歳、14歳、16歳と追跡したデータを解析すると、16歳までに抑うつや希死念慮などのメンタル不調が女子で大幅に増えており、14歳時点の「孤独感」と「やせ願望」を介する経路が、抑うつの34.7%、現在の希死念慮の46.3%に相当しました。
もちろん、この2要素だけが原因ではありませんが、これだけ大きな割合だったことにはかなり驚きました(なお「ワシは認めん!」という方、GitHubに解析コードを公開してるので対戦よろしくお願いします)。
この研究で一番伝えたいのは、これは女の子個人の問題ではない、ということです。
若者たちから挙がったのは、
・グループから外される怖さ
・安心して本音を話せる友人の少なさ
・周囲に合わせ続けるしんどさ
・外見いじり
・SNSを通じた体型比較
・「女性はやせているべき」というプレッシャー
などでした(すでに「SNSとルッキズムだろ」のような投稿が散見されましたが、かなり的を射ています)。
つまり、思春期女子のメンタルヘルスを守るために必要なのは、孤独になりにくい環境をつくること、外見への有害なプレッシャーを減らすこと、そして若者自身の声をきちんと拾うこと(私のようなおじの声ではなく)。
Nature Human Behaviour に論文を通せたことはもちろん嬉しいのですが、綺麗ごととかでなく娘が生きやすい社会になってほしいという思いで書きました。
父親として、現状のベストは尽くせたはず。
最後に、これは思春期のメンタルヘルスをどう守るかという話なので、男 vs. 女の構造に持ち込まないようご注意のほどお願いします!
【ガードレール無しのAI使用は学習を害する】
というタイトルの研究がPNASに掲載されています。
高校生約1,000人を対象としたランダム化比較試験で、通常のAIを使った生徒は、数学の練習問題の成績が48%向上した一方、AIなしのテストでは17%低下したと。まあそりゃそうだ。
ではどういう使い方ならOKなのかという観点だと、答えを直接教えず、ヒントを与える学習支援型AIでは、こうした成績低下は確認されませんでしたと。
学習を妨げないためのガードレールを、AIに組み込む必要があると。
デジタル社会における、適切な勉強についての介入研究はいつかやりたいと思っています。
STEP1の勉強を始めました!10年以上前に一度受かっているのですが、何も覚えていません・・・・!
試験勉強はストレスかかりますが、YouTubeやSNSから離れてドパミンフリーになり、幸福度が上がるメリットもあるはずです😃
成田先生ぜひ研究してください @naritazui
【電気が通れば睡眠は減る】
スマホ使用と睡眠の短縮に関連して、こちらは電気が通った農村で睡眠が減少したというNatureの記事。
アルゼンチンの先住民コミュニティを10年以上追跡したところ、電気が通った農村では睡眠時間が短縮したと。
もちろん電気そのものの直接効果だけではなく、生活様式の変化も考えられるとは思いますが、その変化も電気ありきでしょうか。
数十年でようやく1世代が交代する人類の進化が、数年単位で新しい技術やデバイスが登場するテクノロジーの進化に追いついていないということなんですかね。
この筋トレとうつの論文、ラジオでも取り上げました。
ちょっと不思議なのが、45分未満 vs. 45分以上で比べたときに、前者の方が効果量が大きいんですよね。
単なる異質性なのか?
メタ回帰の限界なのか?
あるいは本当に時間が短い方が良いのか?(ガチトレーニーの方、教えてください)。
この件のあと灘の元校長と飲みましたけど、政治的意図なく入試問題として出題しただけなのに変にバズって大変だったと言ってました。
イスラエルとパレスチナ両サイドから連絡が来てめっちゃ怖かったらしい。
This quoted post is unavailable.
【夜22時以降のスマホ使用が良くないのか?】
インスタやTikTokで睡眠が妨げられたと感じている子どもが多いことを踏まえて、こちらはスマホ使用と睡眠の関係を調べた研究。
さんざんこすられてきたトピックですが、今回は20時、22時、24時と、遅い時間帯ほど睡眠の短縮との関連が大きいという結果でした。著者らは特に22時以降のスマホ使用について強調しています(がリザルトを読む限りここが明確な閾値という訳ではなさそう)。
最近のMetaの和解では24時以降のアクセス制限が定められましたが、それだけでは睡眠改善にはつながらないかもしれませんね。
自分も遅い時間は機内モードにしようと思います。
成田瑞 精神科医 | Zui Narita MD PhD IFAPA retweeted
メディアや広告の煽りも影響あるよ。
急増する思春期女子の自殺、SNSが密接に関係 「孤独」と「やせたい」がもたらす危険性 sankei.com/article/20261022-… @Sankei_newsより
成田瑞 精神科医 | Zui Narita MD PhD IFAPA retweeted
今まさに女子中高校生を育てる親だが、結果に納得。SNSで誘われなかった事を知り、ダイエット広告でボディイメージが歪む。親として子供達のSNS管理も大変。マジで子供に害しかない
急増する思春期女子の自殺、SNSが密接に関係 「孤独」と「やせたい」がもたらす危険性u.lin.ee/XgvgTVx?mediadetail…
メモ
成田瑞先生の記事
都内のアンケート調査
16歳で抑うつ症状:女子15・9%、男子8・2%
16歳で希死念慮:女子29・8%、男子18・1%
「抑うつ症状の差の3分の1、死にたい思いの差の約半分が、14歳時点でのやせ願望と孤独感で説明できるとした。」
成田瑞 精神科医 | Zui Narita MD PhD IFAPA retweeted
思春期女子のメンタルヘルス格差、その背景に「孤独感」と「やせ願望」🧠
成田 瑞 氏らの@NatureHumBehav #論文
DOI: 10.1038/s41562-026-02578-2
Loneliness and desire for thinness explain sex differences in adolescent internalizing problems
#心理学
@NCNP_PR @igakuken
都内の16歳女子の16%に抑うつ症状、男子の2倍に…「やせ願望」思春期女子のメンタルに悪影響
yomiuri.co.jp/medical/202610…
成田瑞 精神科医 | Zui Narita MD PhD IFAPA retweeted
優れた研究論文は、その論文そのものの力で社会に拡散される。
よく言われますが、それを具現化する成田先生のこの卓越した論文。以前theletter1でも紹介させていただきましたが、改めて社会政策の転換点になる研究になるかもしれません。これこそ疫学研究の凄みです。





















